【Movie】『子鹿のゾンビ』―エンドロールが終わった後でにやつく、切なさと期待のホラー ⚠️ Spoiler Alert ⚠️

映画

この映画を観て最初に思ったとばってん、やっぱり悪いのは人間やん!!
猟師に母親を撃たれ、森林伐採で家族を失い、子どもは行方不明、化学薬品でゾンビ化した成長した子鹿バンビ…全ての悲劇の元凶は、人間の身勝手さやった。
画面に映るバンビの瞳は、モンスターやのにどこか悲しそうで、見よるこっちはもう目がはなせんかったばい。

最初はただのバンビがモンスター化して人を襲うホラーやろう思うとったばってん、スクリーンに映るバンビの復讐劇は、モンスターが人を襲う、恐怖と複雑な感情との奇妙な混ざり具合で、いつもこの手の映画見る際に、この人生き残るかな?どんな殺され方してしまうんやろ、ってのがあるやん。
今回はもう最初から、逆にゾンビになったバンビを応援する気持ちと、子どもと年寄りはやめてーって複雑な気分で見るしかなかったっちゃんね。
モンスター化したバンビが牙を剥き、森を駆け回る姿は恐怖でゾッとするばってん、その動きや表情には、悲しさと恐ろしさが同居しとる。

途中で、自分やったらどうするやろうか…って考えさせられた。
愛するものを奪われたら、人は怒りや悲しみをどう処理するんやろうか。
バンビの復讐劇は極端やけど、心の奥で感じる感情は、誰もが抱えるもんやんね。
笑いながら観るホラーの中に、自然の命と人間の身勝手さを深く考えさせられる瞬間が隠れとるっちゃんね。
今回笑う要素はあまりなかったばってん。

加えて、小さなうさぎが人を襲うシーンはなかなか面白かった。
森で迷った少年が、出てきたうさぎ一匹を思い切り蹴り飛ばす場面では、「あーこいつフラグ立ったな」と思ったっちゃんね。
ほんで、そのあとどんどんわらわら現れるモンスター化したうさぎたちが少年を襲って、思わず画面に声ば出してしもうた。
見た目はかわいいばってん、凶暴な小動物が集団で襲う迫力は予想以上やったし、これで「終わったな…」感も十分あった。
動物の罠や森の地形を見せる演出も巧妙で、次にどんな殺され方するやろうかとハラハラさせられたばい。

また、モンスター化したバンビの描写も丁寧やったと思う。
編集やCGが雑とか、この手の感想でしたり顔で言う人はおると思う。
ばってん、ゾンビ化したバンビの目は空虚やけど時に怒りに燃え、その一瞬一瞬の表情ば見逃せんかった。
森の静けさと血みどろの復讐劇が交差して、妙な不協和音を生む。
夜の森のシーンがほとんどやったけん、余計人間には不利な感じもよかっちっちゃないかいな。
人間側が追い詰められるシーンも皮肉たっぷりで、観よるこっちも自然と考えさせられた。

観終わったあとも、バンビの虚ろな瞳が頭から離れん。
恐怖と切なさが入り混じった余韻が、じんわりと心に残った。
『子鹿のゾンビ』は、ただの奇抜なホラー映画やなか、自然の命を脅かす人間への皮肉と問いかけを強烈に残す異色作やったっちゃないかいな。

笑いどころはほとんどなかばってん、唯一の笑いどころは、エンドロールあとに”バンビがは戻って来る”って1文やった。
思わずにやついてしもうたばい。

この監督、パブリックドメインの映画をモンスターバース化しよるけんね。
最後にやっと再会できて、その喜びを分かち合ってたのに、ハンターで撃たれて絶命したパパゾンビ・・
子どものバンビがかなしげになくところで終わったのは、もう切なかったばい。
今度はこの子鹿のバンビが復讐するために戻ってくるんやろうな、って自然に期待も生まれとる。

このシリーズの次回作は、ピノキオらしい。

また見に行くばい。

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