【音楽雑記】チープトリック来日記念!1曲まるまる勝手に深読み「Downed」── ラブソングに見せかけて、実は…?

音楽

Cheap Trick「Downed」

たまたまギターば手に取って、なん気なしに「Downed」のイントロばつまびいとった。
あの浮遊感のあるフレーズ、やっぱたまらんね。
そんままコード追いながら弾きよったら、自然と歌詞も目に入ってきて、「あれ、これラブソングやったっけ?」っち気になったと。

普通に見たら、失恋ソングとか、ちょっと情緒不安定な恋愛の歌に見えるばってん・・・なんか違和感が残るっちゃんね。
いろいろ対訳も調べてみたけど、どれも大体「心が壊れそうな恋の歌」みたいな対訳ばっか。
でも、それだけじゃ説明つかん表現があちこちに散りばめられとる。

そいで歌詞をもう一度、じっくり読み込んでみたとよ。
すると、見えてきたとが「Downed」は単なるラブソングやなか、もっと深うて不安定な、心の叫びっちゅうか、社会に対するモヤモヤや孤独まで抱えとる曲やなかろうかって。
こげな見方もあるんやなと思ってみちゃんない。

1977年、Cheap Trickが出したセカンド・アルバム『In Color』っちゅうのは、ジャケットはかっこいい2枚目2人(ロビンとトム)のカラージャケットと、裏はモノクロのギョロ目のにーちゃんとおっさん(リックとバーニー)の一癖ある感じのアルバム・ジャケットになっとる。
曲は、ほんと今もライブで定番の曲ばかりで今聞いてもぜんぜん古くない。
リック・ニールセンの作る、甘かメロディに歌詞が意外と毒気があるとは全然気づかんかった。
「Downed」はレコードでいうと、A面の3曲目にあたる。
作詞作曲は、リック・ニールセン。

んじゃ早速いっちみよか。
タイトルの「Downed」には、「倒れた」「落ち込んどる」「壊れとる」みたいに、いろんな意味が詰め込まれとるっちゃんね。
最初は、こりゃ失恋ソングやな〜っち思わせとって、聴きよるうちに、だんだん心の奥底やら社会の闇に引きずり込まれていく感じがするったい。
この曲の中で出てくる “you” は、よう読み込んだら実体がなか。
恋人のことか思いきや、何回も繰り返し聴いたら、社会のことやったり、自分自身へのプレッシャーやったり、もっとでかい「概念」っちゅう感じの存在な気がする。

冒頭の〈Downed, downed, out of my head〉てフレーズは、心がグラグラ揺れとる様子ば、ぐわーっと描き出しとる。
「もう頭がおかしゅうなりそう」”限界ばい”・・・ってそう叫びようにも聴こえるばい。
これが繰り返されることで、不安定な精神状態がぐいぐい伝わってくる。

ほんで〈I’m gonna live on a mountain / Way down under in Australia〉って続くと。
どこか遠く、誰もおらんとこで静かに暮らしたか…って願望が見え隠れしとるばってん、そのあとすぐ〈It’s either that or suicide〉て、急にガツンと重たい選択肢ば突きつけてくるけん、胸にズシンと来るとよ。
オーストラリアの山でもいって暮らすか、死ぬしかないとかどんだけやん・・・
これは冗談でも比喩でもなくて、本気で追い詰められとる気配がしっかり伝わってくる。
で、何度も出てくる〈It’s such a strange strain on you〉っちゅうフレーズが、この曲のテーマば象徴しとる気がするったい。
「君にとっての不思議な重荷」って訳されるけど、こりゃつまり、社会が押しつけてくる“こうあるべき”っちゅう理想像やなか?
イエス・キリストやら、水の上を歩くっちゅうたとえも出てくるけど、これはまさに「人間やのに、完璧ば求められすぎ」っちゅうツッコミやなかろうか。
そこの部分ものっけとくけん
you think of Jesus Christ / You walk on water, but don’t bet your life
あんたは、自分のことをイエス・キリストかなんかと思っとるん?奇跡を起こせる人間っちゅう気でおると?まぁ、そう思いたか気持ちは分からんでもなかばってん・・って、これこそ、他人の期待に応え続けようとして、自分を擦り減らす人に対するメッセージを送っとるんやなかろうか。
※歌詞にある、You walk on waterってのは慣用句で、奇跡を起こすとか言う意味
さらには〈Too many people wanna save the world / Another problem, is it a boy or girl?〉っちゅう一節。
これは時代の空気ば皮肉たっぷりに描いとる。
「世界ば救おうとする人が多すぎて、次の問題は性別ですか?」っち、善意が暴走して人ば追い詰める今のSNS社会ば先取りしとるようにすら聞こえんね?

楽曲としては、最初ゆったりしたテンポで始まって、サビにかけてじわじわ熱ば帯びていく構成がうまかっちゃんね。
リックのギターは相変わらずよかメロディー弾きよるし、それがまた情緒を引き立てるし、トムのベースはしっかりと曲全体ば支えとる。
バーニーのドラムは派手じゃなかけど、淡々としながらも説得力がある。
ロビンの歌声がその上に乗って・・・納得ばい。
どうりでこの曲が心に引っかかったんやな。

「Downed」は、一見ラブソングのふりばしとって、実は現代社会に対する違和感や息苦しさば歌っとる曲やないかいな。
恋人との関係に見せかけとって、その実、社会、他人、自分自身との戦い・・そういうもんが渦巻いとるんよね。

イエス・キリストを思い、水の上を歩く・・そんな奇跡ば信じたい気持ちは、きっと誰の心にもある。
「自分はもっと特別な何かになれる」「何かを救える存在でありたい」そんな理想に、知らんうちにすがっとる。
ばってん現実は甘うなか。
実際に足元にあるとは、細くて揺れる不安定なロープ。
転ばんごと、倒れんごと、緊張感に耐えながら一歩ずつ踏みしめて進むしかなか。周囲の期待、自分の理想、それに押しつぶされそうになりながらも、それでも止まらん。
進まんと、立ち止まったら落ちるけん。
そのギリギリの緊張状態こそが、“Downed”の歌詞ににじむ痛みであり、同時に人間らしさでもあるっちゃなかろうか。
「Downed」は、そんな風にそっと語りかけてくるばい。
とても何十年前の曲とは思えんね。

まぁ、ギター弾きよってこんな深読みするのも音楽の楽しみかもしれんね。

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